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高齢犬の食事:高齢犬の「食べる」を支える上手な介護術。~高齢犬の健康管理をするには~

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年月を重ねた愛犬は、さまざまな身体的変化に直面します。食事に関しても、嗜好の変化や消化能力の低下など、様々な課題が待ち受けています。しかし、適切な対処さえすれば、健やかな高齢期を過ごすことができるはずです。

この記事では、高齢犬の食生活を改善するための秘訣をご紹介します。

高齢期における食事の変化

加齢に伴い、愛犬の食生活は大きな変化を迎えます。まずは、そうした変化の理解から始めましょう。

  • 高齢犬とは

高齢犬とは、おおむね7歳以上の犬を言います。

ただし、イマドキの犬たちは7歳ではかなり若々しい子もいますので、身体の衰えの状況に合わせて食事を変えていきます。

今回は食事について書いていきますので、消化吸収に絞って高齢と判断する要素とします。

消化吸収が落ちてきた高齢犬は、簡単に言えば『食べても痩せて』きます。

なので、ちょっとぽっちゃりしていたりするような子は、まだ高齢犬の食事をさせるには早いと思います。内臓がまだまだ若いので、これからの様子をしっかし見ていくようにしてください。

よくある「高齢犬用」のドッグフードに変えるのも、消化吸収が落ちてきたと感じてからで良いと思います。

  • 食欲の低下

高齢になると、運動量の減少や内臓機能の衰えから、食欲が低下しがちです。さらに、認知症の影響で食事を認識できなくなる可能性もあります。

食欲が低下してきていても、運動量自体も落ちているようなら無理に食べさせると体重が増えてしまいます。

体重が増えも減りもしない食事量が最適量だというのは、若いころと変わりません。

獣医師に相談しながら、適正な量を探ってください。

  • 嗜好の変化

味覚や嗅覚が鈍り、かつて好んで食べていた食べ物が食べづらくなることがあります。逆に、特定の食材を求めるようになる場合もあります。

ふりかけをかけたり、お肉や野菜を茹でたものを混ぜたり、缶詰を使用して匂いを良くしてあげましょう。


  • 飲み込みの困難

筋力の低下により、飲み込む力が弱まります。固形物を飲み込むのが難しくなり、誤嚥のリスクも高まります。

ドッグフードをふやかして(熱湯でふやかすとビタミンが無くなってしまうものもあるので、できるだけ水かぬるま湯でふやかしましょう)食べさせると安心です。

ふやかしたものをそのまま食べられればいいですが、飲み込みずらかったり、舐めとる力が落ちている場合はマッシャーなどでつぶしてあげます

ふやかすことによって、飲水量も増やせるので一石二鳥です。

  • 消化不良

胃腸の働きが低下し、栄養の吸収が不十分になりがちです。下痢や便秘などの消化器系の問題も生じやすくなります。

下痢をするようであれば、食事を数回に分けて胃腸の負担を減らします。

便秘になるようであれば、飲水量を増やしたり獣医師に相談して、整腸剤などを処方してもらいましょう。

これらの変化に気づき、適切な対処をすることが大切です。

高齢犬に適した食事の選び方

高齢犬の健康を維持するには、年齢に合わせた食事が不可欠です。以下の3つのポイントを意識しましょう。

高タンパク・低脂肪・低カロリー

運動量が減る高齢期には、低脂肪・低カロリーの食事が適しています。一方で、筋肉の原料となるタンパク質は積極的に摂取させましょう。

鳥の胸肉を、皮を取り茹でてドッグフードにトッピングすると喜びます。その他にもレバーなども好んで食べる子は多いです。

関節に優しい成分

グルコサミン、コンドロイチン、オメガ3脂肪酸など、関節の健康を守る成分を含む食事が望ましいです。

これは食事でとるのは難しいかもしれないので、獣医師に相談してちゃんとしたサプリメントを与えましょう。


消化の良さ

穀物が多く固形のものは避け、柔らかく消化しやすい食事を選びましょう。

高齢犬用のドッグフードは、こうした配慮がなされています。年齢や体調に合わせて、最適な商品を選ぶことが大切です。

半生のフードは最終手段です。できればドライフードを与え、食べにくそうならふやかしてあげてください。

柔らかいものしか食べられず、夏場のフードが傷みやすい時期などには半生フードが重宝するときもあります。

食事回数と量の調整

高齢期には、代謝が落ち、一度に食べられる量が減ります。そこで、1日の給餌量を3〜4回に分けて与えるのがおすすめです。

具体的な1日の給餌量は、以下の計算式を参考にしてみてください。

  1. 安静時エネルギー要求量 = 70 × 体重(kg)の0.75乗
  2. 1日の必要摂取カロリー = 安静時エネルギー要求量 × 係数(1.2〜1.4)
  3. 1日の給餌量(g) = 必要摂取カロリー ÷ フードの100gあたりカロリー × 100

この計算結果は目安にすぎません。愛犬の様子を見ながら、適量を見極める必要があります。

体重が増えも減りもしない、適正体重が保てる量が適正な給餌量です。

いろいろ試しながら適正量を探りましょう。

我が家では、ノートに給餌量と飲水量をザックリと付けて管理しています。

食事環境の整備

高齢犬が食事をしやすい環境づくりも大切です。

  • 食器の高さ調整

床置きの食器は、首への負担が大きいため避けましょう。食事台を利用して、愛犬に合わせた高さに調整しましょう。


  • 滑り止めの設置

ふらつきがちな高齢犬には、足元に滑り止めマットを敷くと安定します。

前足が開いたり、後ろに滑ってしまったりしますので、支えながら食事をさせるのも一つの方法です。

  • 介助用具の活用

寝たきりの場合は、頭の位置を高く保ち、誤嚥を防ぐ介助用具が役立ちます。

無理のない姿勢で食事ができる環境を整備することが重要です。

我が家では、腕の下に人間用の旅行用U字枕(100均です)を当てて、頭を高くして食べさせています。

食欲をそそる工夫

食欲が落ちた際には、以下のような工夫で刺激を与えてみましょう。

  • 温めて香りを立たせる

温めることで香りが立ち、嗅覚が刺激されます。電子レンジや湯煎がおすすめの方法です。

  • トッピングを加える

好物のトッピングを加えれば、食欲がわく可能性があります。チーズ、かつおぶし、フルーツなどが適しています。

  • 柔らかく調理する

歯が弱っている高齢犬には、お湯や犬用スープでフードをふやかすと食べやすくなります。

それでも食べにくそうなら、つぶして飲み込みやすくしましょう。

  • おいしい手作り食

愛犬の好みに合わせて、柔らかく消化の良い手作り食を用意するのも一案です。

  • 軽い運動とマッサージ

軽い散歩やマッサージで消化器官を刺激すれば、食欲が戻るかもしれません。

寝たきりの場合は、ペット用のカートでお散歩に行ってみましょう。気分転換にも最適ですよ。

多頭飼いの我が家はこちら。お値段お手頃なのに、15キロまで乗れるので丈夫です。10年使っていてもがたついたりはしていませんよ。

大きさもあるので、寝たきりになっても乗せられるし、前が開くので寝てても外を見られるので便利です。


車で出かける方は、こういう分離型もあります。車に乗せていて、そのままカートに移動させられるので、犬への負担が少ないです。こちらも前が開くので、寝たきりになっても外が見れますね。


このように、五感に働きかけながら、愛犬に合った方法を見つけていきましょう。

食べられない時の対処法

どんなに工夫しても食べてくれない場合は、以下の対処が必要です。

  • 水分補給

脱水を防ぐため、スポイトやガーゼで水分を補給しましょう。今は犬用のスポーツドリンクや、水分補給用のゼリーなどの商品もあります。


飲ませるには、100均の口を自分で切ることができるドレッシングボトルが使いやすいです。

我が家では、100ccのところに線を引いて、飲ませたときの目安にしています。

飲ませた量を大雑把でもいいのでノートに付けておくと、便利です。

  • 流動食の利用

飲み込みやすい流動食を、シリンジや上記のドレッシングボトルで与えます。

  • 短時間で手際よく

長時間にわたる食事介助は負担がかかるため、手短に行いましょう。

犬が疲れてしまったようなら、一度切り上げて、数時間ごとにこまめに食事をさせることも検討してください。

  • 動物病院への相談

根本原因が体調不良の可能性もあるため、獣医師に相談するのも賢明です。

食べられなくなった愛犬に対しては、上手な水分・栄養補給が何より大切になります。

食事内容の定期的な見直し

高齢期は体調が日々変化するため、食事内容を定期的に見直す必要があります。

  • シニアステージに合わせる

シニア初期、中期、後期と、段階に合わせて食事を調整しましょう。中期以降は、介護食への切り替えを検討する時期です。

  • 病気への配慮

腎臓病や糖尿病など、持病に合わせた療法食を選ぶことも大切です。獣医師と相談しながら、最適なものを選びましょう。

  • 嗜好の変化に対応

食べなくなったら、別の食材やメーカーのものを試してみましょう。嗜好は変わるものです。

このように、状況に合わせて柔軟に対応することが、健やかな老後を過ごす秘訣です。

介護食への切り替え

状況によっては、介護食への切り替えを検討する必要があります。

総合栄養食

パウダータイプの総合栄養食は、水分量を調節することで、流動食としても活用できます。


ミルクやスープ、流動食

ミルクやスープなどの液体は、フードに混ぜて与えると食べやすくなります。

ミルクは犬用を使います。犬用粉ミルク・犬用牛乳などありますので、必要になる前に近所のペットショップで確認しておきましょう。

流動食で有名なのは、こちらの商品。


スープは野菜や鳥の胸肉を煮込んで作ってみましょう。その時に好物を入れてあげると喜びます。

また、たべてさせてはいけない食材を改めて確認しておきましょう。

エイジングケア処方食

高齢犬向けのエイジングケア処方食は、消化吸収を助ける働きがあります。

介護食への切り替えは、飲み込みやすさや栄養価を重視して行いましょう。

食事と並行した口腔ケア

歯や口腔の健康も、食事と密接に関係しています。

  • 毎食後の口腔清掃

歯ブラシやガーゼで、食後にきれいに口腔を清掃しましょう。

  • 定期的な歯石除去

歯石が溜まると、炎症を引き起こす恐れがあります。獣医師に定期的な除去を依頼しましょう。

老犬は歯石で歯がぐらついていることがありますし、歯肉炎になっていることもあります。早めに治療していただいて、必要であれば、抜歯をすることも検討してください。

  • 口腔ケア用品の活用

市販の口腔ケア用品を上手に活用すれば、衛生的な口腔環境を保つことができます。

口腔の健康が保たれれば、食事もスムーズになります。食事と口腔ケアは車の両輪と心得ましょう。

我が家の子は、抜歯をして歯が1本しかないのですが、歯があった時より食事がしやすくなったようで、食欲が増してきました。

最期まで楽しめる食事を

高齢期の食生活は、健康はもちろん、愛犬のQOL(Quality of Life)を左右する大切な要素です。

好物で楽しむ

残された時間が少ないからこそ、愛犬の好物を与えてあげたいものです。しかし、持病がある場合は制限が必要かもしれません。

獣医師と相談してください。

介護は愛情表現

介護による食事介助は、決して義務ではありませんが、愛情の表れだと意識することが大切です。

共に楽しむ時間に

食事の時間は、飼い主と愛犬の絆を深める貴重な機会です。お互いを思いやりながら、楽しい時間を過ごしましょう。

高齢期の愛犬に寄り添うには、介護の技術はもちろん、愛情と思いやりの心が欠かせません。最期まで健やかに、そして幸せに過ごせるよう、食事作りに心を込めましょう。

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